控除される仕組み
寄附額から2,000円を引いた金額が、次の3つに分かれて控除されます(総務省の計算式)。
- 所得税:(寄附額−2,000円)×所得税率 → 確定申告した場合に還付
- 住民税(基本分):(寄附額−2,000円)×10%
- 住民税(特例分):残りの部分。ただし住民税所得割額の2割まで
この3つ目の「2割まで」が、いわゆる上限を決めています。上限を超えると全額控除にはならず、自己負担が2,000円を超えます。
上限の目安:年収と家族構成で変わる
自治体の公式資料では、給与収入と家族構成ごとの「全額控除される寄附額の目安」が示されています。以下は福岡市の公式掲載表を2026年9月30日に確認した値です。
| 給与収入 | 独身または共働き | 夫婦(配偶者に収入なし) |
|---|---|---|
| 300万円 | 約2.8万円 | 約1.9万円 |
| 400万円 | 約4.2万円 | 約3.3万円 |
| 500万円 | 約6.1万円 | 約4.9万円 |
| 600万円 | 約7.7万円 | 約6.9万円 |
※福岡市の公式掲載表の目安値。給与所得者を想定した概算で、税制改正、社会保険料、各種控除等によって実際の上限は変わります。寄附する年の条件で税額シミュレーションを行ってください。
同じ年収でも、住宅ローン控除や医療費控除、iDeCoの掛金などがあると上限は下がることがあります。正確に知りたいときは、各ポータルサイトの詳細シミュレーションに源泉徴収票の数字を入れて計算します。
看護師は「今年の年収」で考える
控除の上限を決めるのは、寄附した年(1〜12月)の所得です。前年の源泉徴収票は参考になりますが、看護師は次の理由で年収が前年と変わりやすい職業です。
- 夜勤回数の増減(産休・育休明け、日勤のみへの変更、夜勤専従への変更)
- 賞与の変動
- 転職や非常勤への切り替え
- 残業の多い部署への異動
例:前年の年収が500万円、今年から日勤のみに変わった場合
夜勤手当が年間50万円ほど減ると、年収は450万円前後になります。前年の年収で上限約6.1万円と考えて寄附すると、今年の上限(400万〜500万円の間)を超えて自己負担が増えるおそれがあります。
年収が読みにくいときの進め方
- 年の前半は、見込みより低めの年収で計算した上限の7〜8割までにしておく
- 11〜12月に、給与明細で1年の総支給額がほぼ見えてから残りを寄附する
- 12月31日までに決済が完了した寄附がその年の分になる(年末はサイトや決済の混雑に注意)
寄附から控除までの手順
| ステップ | やること | 時期 |
|---|---|---|
| 1 | 今年の年収見込みから上限の目安を確認 | いつでも |
| 2 | ポータルサイトや自治体のサイトで寄附先を選び、寄附する | 1〜12月 |
| 3 | 受領証明書を受け取り、保管する | 寄附後数週間〜 |
| 4 | ワンストップ特例申請書を提出(使う場合) | 翌年1月10日必着 |
| 5 | 確定申告をする場合は、寄附金控除を申告 | 翌年2月16日〜3月15日ごろ |
| 6 | 翌年6月以降の住民税が減額される(確定申告した場合は所得税の還付も) | 翌年 |
住民税の減額は、6月ごろに勤務先から配られる「住民税決定通知書」の「寄附金税額控除」の欄で確認できます。
ワンストップ特例とは?
会社員など、もともと確定申告をしなくてよい人が、確定申告をせずに控除を受けられる仕組みです。
使える条件
- 確定申告が不要な給与所得者など
- 1年間の寄附先が5自治体以内(同じ自治体に何回寄附しても1とカウント)
- 寄附先の自治体ごとに申請書を提出する(オンライン申請に対応する自治体もある)
期限:寄附した翌年の1月10日までに自治体へ届くこと
ワンストップ特例では所得税からの控除はなく、その分も含めて翌年の住民税から控除されます。
年の途中で引っ越した場合は、翌年1月10日までに寄附先の自治体へ住所変更の届出が必要です。
確定申告をするとワンストップ特例は使えなくなる
ワンストップ特例を申請していても、その年について確定申告をすると特例は無効になります。その場合は、特例を申請した分も含めて、すべての寄附を確定申告に入れます。
看護師が確定申告をすることになりやすいのは、次のようなケースです。
| ケース | ふるさと納税への影響 |
|---|---|
| 医療費控除を受ける(家族分と合わせて年10万円超など) | 全寄附を確定申告に含める |
| 副業(単発バイト・執筆など)について確定申告を行う | 全寄附を確定申告に含める |
| 年の途中で退職し、年末調整を受けず還付申告等を行う | 申告する場合は全寄附を含める |
| 住宅ローン控除の初年度 | 確定申告が必要。全寄附を含める |
| 寄附先が6自治体以上 | ワンストップ特例が使えないため確定申告 |
なお、iDeCoの掛金は年末調整で控除できるため、それだけで確定申告が必要になるわけではありません(ただし上限は少し下がります)。
返礼品の選び方の基本
返礼品は、寄附額の3割以下(地場産品)というルールのもとで各自治体が用意しています。
初めてなら、次のような「どうせ買うもの」から選ぶと、家計の支出を置き換えやすくなります。
- お米、肉、魚などの食品
- トイレットペーパー、ティッシュなどの日用品
夜勤や連勤が続くと、冷凍食品や日持ちする食品が役立つという声もあります。一方で、冷凍庫の容量や受け取りの日時指定ができるかも確認しておきましょう。不在が多いと、生ものの再配達で困ることがあります。
返礼品やポイント規制後の損得をどう考えるかは、ふるさと納税は本当に「お得」なのか?で整理しています。
始める前のチェックリスト
- [ ] 今年の年収見込み(夜勤回数・賞与・転職の予定を含めて)
- [ ] 確定申告の予定(医療費控除・副業・住宅ローン控除など)
- [ ] 寄附する自治体の数(5つ以内ならワンストップ特例も可)
- [ ] 受領証明書と申請書の保管場所
- [ ] 返礼品の受け取り方(冷凍・日時指定)
ふるさと納税は、上限と手続きさえ押さえれば難しい制度ではありません。最初の年は少額から始めて、住民税決定通知書で控除を確認してから、翌年の金額を決めるのも一つの方法です。
参考資料
- 国税庁「ふるさと納税(寄附金控除)」(参照日:2026-09-28)
- 国税庁「ふるさと納税をされた方へ」(参照日:2026-09-30)
-
総務省「ふるさと納税ポータルサイト 控除額の計算」(参照日:2026-09-30)
-
福岡市「ふるさと納税とは:控除上限額の目安」(参照日:2026-09-30)
