違いを一覧で
| 比べる点 | NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 目的 | 目的は自由(住宅・結婚・老後など) | 老後資金 |
| 引き出し | いつでも売却して現金化できる | 原則60歳まで引き出せない |
| 始められる人 | 日本に住む18歳以上 | 公的年金の加入者など(会社員・公務員・自営業・専業主婦など) |
| 積み立てられる額 | 年360万円まで(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯で1,800万円まで | 働き方と勤務先の年金制度で変わる(下で詳しく) |
| 掛金・投資額への税の優遇 | なし | 掛金が全額、所得控除になる |
| 運用益への税金 | かからない | かからない |
| 受け取るとき | 税金はかからない | 一時金・年金として受け取り、所定の控除の範囲を超えると課税 |
| 手数料 | 口座管理料は無料の金融機関が多い | 加入時・毎月の手数料がかかる |
| 元本割れ | ありうる | ありうる(元本確保型の商品もある) |
NISAとは?
2024年からの新しいNISAには、
- つみたて投資枠:年120万円まで。長期・積立・分散に向くとして金融庁の基準を満たした投資信託など
- 成長投資枠:年240万円まで。株式や投資信託など
があり、併用できます。生涯で使える枠は合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)で、売った分の枠は翌年以降に復活します。非課税で持てる期間に期限はありません。
NISAは預金ではありません。NISA口座の中で投資信託や株式を買う仕組みなので、値下がりして元本割れすることもあります。
iDeCoとは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を出し、自分で運用商品を選び、その結果で将来の受取額が変わる私的年金です。
特徴は税の優遇が3段階あることです。
- 掛金が全額所得控除になる(所得税・住民税が軽くなる)
- 運用中の利益に税金がかからない
- 受け取るときに退職所得控除や公的年金等控除が使える
掛金の節税効果の例
所得税率10%・住民税10%の人が、月2万3,000円(年27万6,000円)を積み立てた場合、
27万6,000円 ×(10%+10%)= 年約5万5,000円 税金が軽くなります。
所得税率が5%の人なら、年約4万1,000円です。
一方で、老後のための制度なので、原則60歳まで引き出せません。加入期間が10年未満の場合は、受け取りを始められる年齢がさらに遅くなります。
一番大きな違いは「いつ使うお金か」
| 使う時期の例 | 合いやすい制度 |
|---|---|
| 1〜3年以内(引っ越し・車・資格取得) | どちらも向かない。預貯金 |
| 5〜20年後(住宅の頭金・結婚・子どもの教育費) | NISA |
| 60歳以降(老後の生活費) | iDeCo、NISA |
看護師は、転職、進学(認定看護師・大学院など)、結婚・出産などでまとまったお金が必要になる時期が読みにくいこともあります。20代・30代前半で「老後まで絶対に使わない」と言い切れるお金が少ないなら、まずNISAを中心に考え、iDeCoは少額から、という順番も現実的です。
看護師がiDeCoで確認したいのは勤務先の年金制度
同じ看護師でも、勤務先によってiDeCoで積み立てられる上限が違います。まず、勤務先がどれに当たるかを確認します。
| 勤務先の例 | 加入している年金制度の例 | 確認する方法 |
|---|---|---|
| 民間病院・クリニック(企業年金なし) | 厚生年金のみ | 就業規則、人事・総務 |
| 企業型DCがある法人 | 厚生年金+企業型確定拠出年金 | 企業型DCの加入者向け案内 |
| 確定給付企業年金(DB)がある法人 | 厚生年金+DB | 人事・総務 |
| 公立病院など | 共済組合(厚生年金+退職等年金給付) | 共済組合の案内 |
2026年12月1日から、上限が変わる
厚生労働省によると、2026年12月1日からiDeCoの拠出限度額が次のように引き上げられます。
| 働き方・勤務先 | 改正前(月額) | 改正後(月額) |
|---|---|---|
| 会社員等(企業年金なし) | 2.3万円 | 6.2万円 |
| 会社員等(企業型DC・DBあり) | 2.0万円(企業年金と合わせて5.5万円まで) | 企業年金の掛金相当額と合わせて6.2万円まで |
| 公務員 | 2.0万円 | 共済の掛金相当額と合わせて6.2万円まで |
| 自営業・フリーランス(第1号) | 6.8万円(国民年金基金などと合算) | 7.5万円(同) |
つまり、企業年金がある職場では「6.2万円 − 勤務先の制度の掛金相当額」がiDeCoの上限になります。同じ病院グループでも、法人によって上限が変わることがあります。
あわせて、60歳以上70歳未満でも一定の条件を満たせば加入できるようになります。
改正後の掛金で拠出したい場合、金融機関ごとに手続きの期間が決まっています。すでにiDeCoに加入している人は、利用している金融機関のお知らせを確認してください。
上限いっぱいにするべき?
上限が6.2万円に上がっても、6.2万円を出すべきという意味ではありません。60歳まで引き出せないお金なので、生活防衛資金とNISAで使える分を確保した後の、余裕の範囲で決めます。
働き方が変わるときの注意点
看護師は、ライフイベントや働き方の変化で収入や加入する年金制度が変わりやすい職業です。
| 変化 | NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 産休・育休 | 積立額を減らす・止めるのは自由 | 掛金は続けられるが、収入がないと所得控除の効果はほぼない。掛金の停止(運用指図者になる)も選べる |
| 転職 | 影響なし | 勤務先の年金制度が変わると上限が変わる。移換の手続きが必要な場合も |
| 非常勤で夫・妻の扶養に入る(第3号) | 影響なし | 上限は月2.3万円。所得がなければ節税効果は小さい |
| 夜勤を減らして年収が下がる | 積立額の見直しは自由 | 掛金は年1回変更できる。税率が下がると節税効果も小さくなる |
iDeCoは「一度始めたら60歳まで途中で解約できない」制度です。ただし、掛金を減らす・止めることはできます。
iDeCoの手数料も見ておく
iDeCoには、加入時と毎月の手数料がかかります。国民年金基金連合会などに支払う分は、どの金融機関を選んでもかかり、さらに運営管理機関(金融機関)の手数料は無料から有料までさまざまです。
月5,000円など少額で積み立てる場合、手数料の割合が相対的に大きくなります。節税効果と手数料の両方を見て、金額を決めてください。
NISAとiDeCoはどちらか一つ?
両方使うことができます。考え方の順番は次のとおりです。
- 生活費の数か月分を預貯金で確保する
- 5〜20年以内に使うかもしれないお金はNISAで
- 60歳まで確実に使わないと言えるお金で、節税効果が大きい人はiDeCoも
ケース別の考え方(例)
| ケース | 考え方の例 |
|---|---|
| 25歳・独身・貯金50万円 | まず預貯金を増やしつつ、NISAを少額から |
| 30歳・独身・貯金200万円・年収500万円 | NISA中心。iDeCoは月1〜2万円から節税効果を確認 |
| 35歳・共働き・住宅購入予定 | 頭金に使うお金はNISAか預貯金。iDeCoは購入後の家計を見てから |
| 40歳・年収600万円・老後資金を増やしたい | NISAに加え、iDeCoの上限(改正後)を勤務先の制度で確認 |
※個別の商品や金額を勧めるものではありません。
生活費を削ってまで積み立てる必要はありません。お金全体の考え方は看護師のお金の基本で整理しています。
参考資料
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」(参照日:2026-09-30)
- 厚生労働省「iDeCoの概要」(参照日:2026-09-30)
- 厚生労働省「2025年の制度改正」(参照日:2026-09-30)
- 国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」(参照日:2026-09-30)
