ステップ1:手取りを「固定の部分」と「変わる部分」に分ける
最初に確認したいのは、収入がいくらあるかではなく、毎月いくら残っているかです。
看護師の給与明細は、おおまかに次のように分けられます。
| 区分 | 主な項目 | 特徴 |
|---|---|---|
| 固定の部分 | 基本給、職務手当、資格手当、住宅手当など | 毎月ほぼ同じ |
| 変わる部分 | 夜勤手当、残業代、休日出勤手当 | 勤務表で毎月変わる |
| 年に数回 | 賞与 | 支給月・額が病院で違う |
日本看護協会の調査では、夜勤をしている正規雇用の病院勤務者に夜勤回数に応じて支払われた手当は、月平均4万3,806円(2025年1月分)でした。夜勤が月3回の月と6回の月では、手取りがかなり違うことになります。
おすすめの考え方
生活費は「夜勤が一番少ない月の手取り」か、「夜勤手当を除いた手取り」で組み、夜勤手当や賞与は貯金や特別な支出に回す。
こうしておくと、産休・育休、日勤のみへの異動、体調不良で夜勤を減らしたときも、生活が崩れにくくなります。
例:手取りの内訳(仮定)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 夜勤手当を除いた手取り | 22万円 |
| 夜勤手当(月4回・手取りベース) | 約3.5万円 |
| 生活費(家賃・食費・通信費など) | 19万円 |
この場合、生活費は22万円の中で回し、残り3万円+夜勤手当分の約3.5万円を「貯める・育てる」に回す、という形になります。
ステップ2:固定費を見直す
毎月決まって出ていく固定費は、一度見直すと効果が続きます。
- 家賃(手取りの3割以内がよく使われる目安。寮・借り上げ社宅があれば比較)
- スマホ代
- 保険料
- サブスクリプション
- 車(駐車場・保険・ローン)
看護師は夜勤の日の食事や、疲れた日のタクシー・デリバリーで変動費が増えやすいこともあります。「夜勤の月の食費」を1〜2か月記録してみると、どこにお金が流れているか見えてきます。
ステップ3:生活防衛資金を貯める
貯金の最初の役割は、急な出費や収入減に備えることです。
| 状況 | 生活防衛資金の目安 |
|---|---|
| 実家暮らし・独身 | 生活費の3か月分程度 |
| 一人暮らし・独身 | 生活費の3〜6か月分程度 |
| 家族を支えている、転職を考えている | 生活費の6か月分以上 |
※一般的に使われる目安です。
看護師は転職しやすい職業ですが、転職の間に無給期間ができたり、退職月の給与が少なかったりすることもあります。「辞めたいと思ったときに、お金が理由で我慢しなくていい」額を持っておくことも、選択肢を守ることにつながります。
引っ越し・結婚・車・旅行など、数年以内に使う予定があるお金も、投資ではなく預貯金で持っておきます。必要なときに値下がりしていると困るためです。
ステップ4:必要な保障を考える
保険は「起きたら家計が大きく困ること」に備えるものです。
病院に常勤で勤める看護師の多くは、健康保険の高額療養費制度や傷病手当金などの公的な保障があります。まずその範囲を知り、足りない部分だけを民間保険で補うのが基本です。
詳しくは看護師に保険は必要?で、公的保障の金額例と家族構成別の考え方を整理しています。
ステップ5:余裕資金で資産形成を考える
生活防衛資金を確保し、数年以内に使うお金を分けた後の「当面使わないお金」で、資産形成を考えます。
| 制度 | 役割 | ひとことで |
|---|---|---|
| NISA | 投資の利益に税金がかからない | いつでも引き出せる。元本割れはありうる |
| iDeCo | 老後資金のための私的年金 | 掛金で税金が軽くなるが、原則60歳まで引き出せない |
2026年12月からはiDeCoの掛金の上限が引き上げられます。勤務先の年金制度によって上限が変わるため、詳しくはNISAとiDeCoの違いを確認してください。
どちらも投資なので元本割れする可能性があります。金融庁も、投資には元本割れのおそれがある一方、長期・積立・分散という考え方がリスクと付き合う方法の一つになると案内しています。
ふるさと納税は「投資」ではなく「税金の行き先」の話
ふるさと納税は資産運用ではありません。自治体へ寄附をし、寄附額のうち2,000円を超える部分について、上限の範囲内で所得税・住民税から控除を受ける制度です。
夜勤回数や賞与で年収が変わりやすい看護師は、前年ではなく今年の年収見込みで上限を考える必要があります。手順は看護師のふるさと納税入門にまとめています。
看護師のお金は順番で考える
いきなり「何に投資する?」から考える必要はありません。
- 家計を知る:夜勤手当を除いた手取りで生活費を組む
- 固定費を整える:家賃・スマホ・保険料
- 生活防衛資金を貯める:生活費の3〜6か月分
- 必要な保障を考える:公的保障で足りない部分だけ
- 余裕資金で資産形成:NISA・iDeCo
よくある反論:「若いうちから投資した方が複利で有利では?」
長い時間運用できることは、確かに投資の強みです。ただ、生活防衛資金がないまま投資を始めると、急な出費のときに値下がりした資産を売ることになりかねません。月1万円からでも、3と5を同時に進める形なら両立できます。
看護師の1年のお金のスケジュール
| 時期 | お金のイベント | やっておきたいこと |
|---|---|---|
| 4月 | 新年度・異動・昇給 | 給与明細で基本給と手当の変化を確認 |
| 6月 | 住民税が切り替わる、夏の賞与(病院による) | 住民税決定通知書でふるさと納税の控除を確認、賞与の使い道を先に決める |
| 10〜11月 | 年末調整の書類 | 生命保険料控除・iDeCoの掛金証明を提出 |
| 11〜12月 | ふるさと納税の締め切り、冬の賞与 | 1年の総支給額の見込みから、寄附額を最終確認 |
| 1〜3月 | 確定申告(医療費控除・副業などがある人) | ワンストップ特例を使った人は1月10日までの申請を確認 |
お金の選択肢は一つではありません。自分の働き方と将来に合わせて、順番に一つずつ決めていきましょう。
参考資料
- 金融庁「資産形成の基本」(参照日:2026-09-28)
- 厚生労働省「iDeCoの概要」(参照日:2026-09-30)
- 厚生労働省「2025年の制度改正」(iDeCo)(参照日:2026-09-30)
- 国税庁「ふるさと納税(寄附金控除)」(参照日:2026-09-28)
- 日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」(参照日:2026-09-30)
