夜勤手当の平均は月約4.4万円
日本看護協会の2024年度調査では、正規雇用フルタイムで夜勤をしている病院勤務者について、2025年1月に夜勤回数に応じて支払われた手当総額は平均4万3,806円でした。スタッフ(非管理職)では4万7,229円です。二交代制の夜勤回数は平均4.2〜4.4回程度でした。
手当総額と夜勤回数は集計対象が同じとは限らず、この平均値どうしから1回の手当は算出できません。回数別の試算では1回1万円と仮定します。実際の金額は病院や勤務形態によって異なります。まずは自分の給与明細で「夜勤手当」「深夜勤務手当」の合計を確認してみてください。
平均4万3,806円が全部なくなると仮定すると
ここではかなり単純化します。夜勤を完全にやめ、基本給・賞与・昇給など他の条件は何も変わらず、月4万3,806円の手当だけがなくなると仮定します。
| 期間 | 夜勤手当の差(税引き前) | 手取りの差の目安(8割と仮定) |
|---|---|---|
| 1年 | 約53万円 | 約42万円 |
| 10年 | 約526万円 | 約421万円 |
| 20年 | 約1,051万円 | 約841万円 |
| 30年 | 約1,577万円 | 約1,262万円 |
かなり大きな数字です。ただしこれは「生涯収入の予測」ではありません。実際には転職、昇給、賞与、管理職、勤務日数などが変わるため、単純に30倍にはなりません。
「ゼロ」ではなく「減らす」場合
夜勤をやめる選択肢は、ゼロか今のままかの二択ではありません。
| 夜勤回数の変化 | 月の手当の差(1回1万円と仮定) | 年間 |
|---|---|---|
| 月4回 → 3回 | 約−1万円 | 約−12万円 |
| 月4回 → 2回 | 約−2万円 | 約−24万円 |
| 月4回 → 0回 | 約−4万円 | 約−48万円 |
※夜勤1回1万円と仮定した単純計算。上の表(平均4万3,806円)とは前提が少し異なります。
「月2回なら体が楽になり、収入の減り方は半分」という中間の選択が取れる職場もあります。夜勤回数の調整ができるかは、まず師長や看護部に確認してみてください。
では夜勤を続ける方が得?
お金だけなら、夜勤手当がある方が収入は増えます。でも人生では、収入最大化=最適解とは限りません。
夜勤・交代勤務と睡眠については、看護師を対象にした研究で睡眠の質や睡眠障害との関連が検討されています。個人差はありますが、夜勤が自分に合わない人がいるのも事実です。
夜勤を見直すきっかけになりやすい変化
- 夜勤明けの回復に、以前より時間がかかる
- 休日も眠気やだるさが続く
- 子育て・介護などで夜に家を空けにくくなった
- 夜勤前後に仕事以外のことが何もできない
「夜勤を辞める=働く時間が減る」とは限らない
夜勤を辞めても、その分がすべて自由時間になるとは限りません。日勤へ置き換わる場合もあります。
ただ、
- 夜に寝られる
- 生活の予定を組みやすい
- 家族や友人と時間を合わせやすい
- 夜勤前後の回復時間が不要になる
といった「時間の質」が変わる可能性があります。
例:月4回の二交代夜勤(1回16時間前後)をやめた場合
夜勤の日と明けの日で、月に8日前後の生活リズムが夜型に切り替わっていたのが、日中中心に揃います。休みの予定を、勤務表を見ずに立てやすくなる人もいます。
年収を落としにくい働き方も考える
夜勤を辞めたいなら、「今の病院で夜勤だけゼロにする」以外にも方法があります。
| 働き方 | 夜勤 | 収入面の特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 基本給の高い職場へ転職 | 職場による | 夜勤なしでも基本給で補える可能性 | 求人の条件を「基本給」で比べる |
| 訪問看護 | 基本なし(オンコールあり) | オンコール手当・訪問件数の手当がある職場も | 1人で判断する場面が多い |
| クリニック・外来 | なし | 病院より下がることも | 少人数で役割が広い |
| 美容看護 | なし | 歩合・インセンティブがある職場も | 売上目標の有無 |
| 管理職・専門性(認定看護師など) | 職場による | 役職・資格手当 | 取得・昇進までの時間 |
| 夜勤専従+日勤なし | あり(集中) | 少ない勤務日数で手当を得る | 生活リズムは夜型のまま |
もちろん、これらが必ず高収入になるわけではありません。比べるときは、月給ではなく「夜勤手当を除いた部分」で比べると、働き方を変えたときの差が見えやすくなります。
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夜勤手当を貯蓄・投資に回していた人は
夜勤手当を毎月の生活費ではなく、貯蓄や投資に回していた人もいるでしょう。
仮に毎月4万円を20年間、現金で積み立てると960万円です。運用すれば増える可能性もありますが、元本割れもあります。
つまり夜勤を辞めることは、「今月4万円減る」だけでなく、そのお金を将来どう使う予定だったかまで考える必要があります。夜勤手当を除いた手取りで生活費が回っているなら、夜勤をやめても生活は崩れにくく、影響は「貯蓄のペース」に限られます。
判断のための整理表
| 確認すること | 夜勤を続ける方向 | 夜勤を減らす・やめる方向 |
|---|---|---|
| 夜勤明けの回復 | 1日で戻る | 2日以上かかる |
| 生活費の組み方 | 夜勤手当込みで生活している | 夜勤手当なしで生活費が回る |
| 貯蓄の目標 | 数年以内に大きな支出がある | 目標までの期間に余裕がある |
| 家庭の事情 | 夜に家を空けられる | 子育て・介護で難しい |
| キャリア | 急性期の経験を積みたい | 日勤中心の領域に移りたい |
どちらかに全部当てはまる必要はありません。「減らす」方向の項目が多いなら、まず回数を減らせるかを相談するところから始められます。
Nurse Life+の結論
夜勤を辞めると、収入が下がる可能性は高い。これは無視できません。
でも、
お金を増やすために夜勤を続ける のか 収入を少し手放して生活を変える のかは、価値観の問題です。
生涯収入を最大化することと、生涯満足度を最大化することは、同じとは限りません。まずは自分の夜勤手当の額を確認し、「ゼロ」「半分」「今のまま」の3つを並べて考えてみてください。
参考資料
- 日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」(参照日:2026-09-29)
- 厚生労働省 job tag「看護師」(参照日:2026-09-29)
- J-STAGE掲載の交代勤務看護師と睡眠に関する研究:木村涼平ほか「16時間交代制勤務下にある看護師の自律神経系活性と睡眠の質の比較」(参照日:2026-09-29)
