実は比べているものが違う
夜勤を増やすことは、元手そのものを増やす行動です。 投資は、すでにある元手を運用する行動です。
そのため、本来は二者択一ではありません。投資するお金がまだない人にとっては、運用利回りより先に「毎月いくら余らせられるか」が重要です。
看護師の夜勤手当はどのくらい?
日本看護協会の2024年度調査では、正規雇用フルタイムで夜勤をしている病院勤務者について、2025年1月に夜勤回数に応じて支払われた手当総額は平均4万3,806円でした。非管理職スタッフでは平均4万7,229円です。二交代制の夜勤回数は平均4.2〜4.4回程度でした。
手当総額と夜勤回数は集計対象が同じとは限らず、この平均値どうしから1回の手当は算出できません。以下では、計算例として夜勤1回1万円と仮定します。実際には、病院や勤務体系(二交代・三交代)、深夜割増の計算方法で大きく違います。
月3万円を夜勤で作るとしたら
夜勤手当には税金や社会保険料がかかるため、手元に残るのはおおよそ8割前後と考えます(収入や地域で変わります)。
| 増やしたい手取り(月) | 必要な手当の総額(目安) | 1回1万円なら |
|---|---|---|
| 1万円 | 約1.25万円 | 約1〜2回 |
| 3万円 | 約3.75万円 | 約4回 |
| 5万円 | 約6.25万円 | 約6回 |
※手取り率8割、夜勤1回1万円と仮定した単純計算。
つまり、「月3万円を夜勤で上乗せする」には、今より毎月4回程度夜勤を増やすイメージです。すでに月4回している人なら、月8回前後になります。
毎月3万円の余裕を作れると仮定する
ここからは、方法は問わず「毎月3万円の余裕資金を追加できた」場合の比較です。
10年間、現金で貯める
3万円 × 12か月 × 10年 = 360万円
10年間、毎月3万円を積立投資
| 想定利回り | 10年後 | うち運用で増えた分 |
|---|---|---|
| 0% | 約360万円 | 0円 |
| 年3% | 約419万円 | 約59万円 |
| 年5% | 約466万円 | 約106万円 |
※毎月末積立・月次複利の単純計算。税金・手数料等を考慮していません。将来の運用成果を保証するものではありません。
投資による差は10年かけて生まれます。一方、「毎月3万円を作る」効果は最初の月から3万円です。10年で見ると、元手の360万円が結果の大部分を占めています。
資産の大きさで答えが変わる
| 今の資産 | 年5%で1年運用した増加(単純計算) | 毎月1万円多く貯めた場合の1年 |
|---|---|---|
| 100万円 | 約5万円 | 12万円 |
| 300万円 | 約15万円 | 12万円 |
| 1,000万円 | 約50万円 | 12万円 |
資産が小さい段階では、利回りを上げることより、毎月の余剰資金を増やす方が影響が大きいことが分かります。反対に、資産が数百万円を超えてくると、運用の影響が追いついてきます。
つまり、
- 20代・資産が少ない時期:入金力(毎月いくら入れられるか)の比重が大きい
- 資産が育ってきた時期:運用を続けることの比重が大きくなる
と考えると、夜勤と投資の位置づけが整理しやすくなります。
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では夜勤を増やせばいい?
ここでお金以外のコストが出てきます。
時間:二交代の夜勤は1回16時間前後になることも多く、明けの日も含めると生活への影響は2日分近くになることがあります。
体への負担:夜勤・交代勤務を行う看護師について、睡眠の質や眠気との関連を検討した研究もあります。ただし、夜勤をすれば必ず健康を損なうという話ではなく、勤務回数、勤務体系、睡眠、体調などで個人差があります。
職場のルール:入院基本料の施設基準には、夜勤に従事する看護職員の月平均夜勤時間を72時間以下とする基準(いわゆる72時間ルール)があります。日本看護協会の2025年調査では、2025年9月の一般病棟の夜勤者のうち、月72時間を超えた人は33.9%でした。施設基準は平均夜勤時間の基準であり、全員の個別上限を意味するものではありません。希望しても、病棟の体制上、夜勤を増やせないこともあります。
夜勤手当だけを見て「無料で収入が増えている」と考えないことが大切です。その収入には、自分の時間と体力が使われています。
一番強いのは「余剰資金を作る × 長期運用」
資産形成だけなら、「夜勤を増やす vs 投資する」ではなく、
余剰資金を作る ↓ その一部を長期で運用する
方が自然です。余剰資金を作る方法は、夜勤だけではありません。
| 方法 | 月の効果の例 | 負担・注意点 |
|---|---|---|
| 夜勤を増やす | 手取り+数万円 | 時間・睡眠・体力 |
| 固定費の見直し(スマホ・保険・サブスク) | +数千円〜1万円程度 | 一度見直せば効果が続く |
| 基本給の高い職場への転職 | 職場による | 転職の手間、人間関係のリセット |
| 資格・専門性で手当を得る | 職場による | 取得までの時間と費用 |
| 副業 | 内容による | 就業規則の確認、確定申告 |
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Nurse Life+の結論
資産がまだ少ない段階では、「何%で運用するか」より「毎月いくら残せるか」の影響が大きくなりやすいです。
ただし、夜勤を増やす方法には時間と体への負担があり、72時間ルールなど職場側の上限もあります。
今の自分の体力を使って稼ぐ方法 と 時間を味方につけてお金を育てる方法
を組み合わせる。どちらか一つに賭けるより、その方が現実的です。
参考資料
- 日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」(参照日:2026-09-29)
- 厚生労働省 job tag「看護師」(参照日:2026-09-29)
- J-STAGE掲載の夜勤・交代制勤務看護師と睡眠に関する研究:木村涼平ほか「16時間交代制勤務下にある看護師の自律神経系活性と睡眠の質の比較」(参照日:2026-09-29)
- 金融庁「資産形成の基本」(参照日:2026-09-29)
- 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(参照日:2026-09-30)
